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もはや「通年採用」化している
2026年卒の就職活動は、2025年卒の就職活動と比べ、さらに早期化が進んでいます。
中には大学1~2年生のうちに内々定を出す企業もあるなど、もはや「通年採用」といっても過言ではない状況となっています。従来の「早期選考」という言葉すら死語になりつつあると感じるほど、就職活動のかたちが根本的に変わってきました。
現在多くの企業で見られるのは、夏期に実施されるサマーインターンシップがそのまま選考の入り口となるパターンです。業界を問わず、「サマーインターンシップからしか採用しない」という企業も増えています。三菱地所が2027年卒のサマーインターンシップの開催を見送ることを発表して話題になっていますが、やはり多くの企業ではサマーインターンシップを実施しているのが実情です。
例えば、ある金融業界大手では、執行役員が「サマーインターンシップに“応募した人”以外は本選考では採らない」と明言しています。詳しくは後述しますが、応募した結果サマーインターンに参加できなかった場合は別として、そもそも応募すらしていない場合はその企業への志望度が低いと見なされることがあるのです。
■「選考①」と「選考②」の時代
このような状況を踏まえると、もはや「早期選考」「本選考」という従来の区分けではなく、「選考①がインターンシップ(サマーおよび秋・冬)」「選考②が本選考」と考えるのが実態に近いでしょう。
2026年卒の就職活動では、ほぼ全ての業界の大手企業が本選考前に内定を出していました。このため本選考は、学生にとっては「リベンジ」できる機会であると同時に、企業にとっては「二次選考」のような位置づけになっているとも言えます。
これには企業側の事情も関係しています。近年では、就職活動の長期化により、学生1人当たり2~3社の内定を取得することが当たり前になりました。そうなると、内定辞退される企業が学生1人当たり1~2社出てしまうわけです。採用計画が立てにくくなった企業にとって、本選考は内定辞退者の枠分を補うという意味合いも強くなっているのです。
サマーインターンで落ちても
「リベンジ」は可能
ここで重要なのは、先ほども述べたようにサマーインターンシップの選考で落ちたとしても、応募していた事実が評価されるということです。
サマーインターンシップから内定に至る枠には限りがありますが、選考を通過するかどうかよりも、「きちんと応募している」という熱意が企業に伝わり、本選考での「リベンジ」が効くのです。
実際、最終的に第一志望内定率94%となった我究館の学生も、就職活動をはじめて数ヵ月後に始まるサマーインターンシップで、希望通りの結果が出る学生は全体の3~4割程度です。
つまり、6~7割の学生は最初のチャンスを逸しているということです。しかし、そこから継続して努力し、成長し続けることで、秋冬インターンシップから本選考が本格化する直前の12月頃には、我究館の実績で言えば7~8割の学生が内定を獲得しています。
そして興味深いことに、12月までに第一志望の内定を獲得する学生も7~8割にのぼります。
ただし、多くの学生はそこで就職活動を終えるわけではありません。就職活動を進める過程で視野が広がり、「この企業も受けてみたい」「以前落ちた企業に『リベンジ』したい」という気持ちが生まれます。このため、ほとんどの学生が内定獲得後も、本選考まで就職活動を続けることになります。
2年生の春休みスタートが安心
そして、従来の「3月解禁」という経団連の就職活動に関するルールは、もはや完全に形骸化しています。
罰則があるわけでもなく、銀行や商社といった、以前は頑なにルールを守っていた企業も、2026年卒では年内に内定が出ていました。例えば、ある大手商社は年内に内定を出していますし、政府系金融機関でも、実際の内定は4月頃に出ています。
これは「いい人材を可能な限り早く採用したい」という企業の本音を表しています。
このような状況を考えると、学生はサマーインターンシップに間に合わせることを前提に就職活動の準備をする必要があります。感度の高い学生は3年生になる前、つまり2年生の春休み(2月頃)から動き始めています。これが現在の「安心ライン」と言えるでしょう。
実際、我究館には大学1年生の5月に説明会に来る学生もいます。早く動き始めることで、余裕を持って自己分析に取り組むことができ、その後の「社会を知る」「業界を知る」「企業を知る」「仕事を知る」というステップにもしっかりと時間を割き、強いガクチカを作ったり、伝える力を高めたりすることもできます。
現在はサマーインターンシップをはじめとする「選考①」と、本選考などの「選考②」という区分けがありますが、企業によってはさらに柔軟な対応を見せています。
ある日系コンサルティングファームのように、4年生の5月の時点で一次選考としてもう一度グループディスカッションを実施する企業もあります。これは「いい人材がいればいつでも採りたい」という姿勢の現れです。
学生にとってはチャンスが多様化する一方で、何度も選考を経験するということは、長期間にわたって何度も「不採用」を言い渡される機会が増えているということでもあり、相当なストレスを感じることにもなります。
保護者世代とは「全く別物」
学生の保護者は、就職活動が自分の時代と比べものにならないほど複雑化・激動化していることを理解していただきたいと思います。
これまでは、本選考に向けて直線的に就職活動が進んでいましたが、現在は大学のキャリアセンターの職員の方でさえ「あまりにも変化が激しく混乱している」という状況なのです。
インターネットでも様々な情報が錯綜し、学生は大混乱の中で就職活動を進めています。就職活動は確実に激動の渦中にあります。
ただ、「何を」「いつまでに」「どのように」といった正しい準備と戦略があれば、必ず道は開けていきます。どのようなことにも言えますが、行動力と成長幅は比例します。
「強み」を磨き、「弱み」に向き合って「強み」に近づけていく努力をし続けることで、驚くほどに成長を実感できるはずです。熾烈な環境ですが、これが現在の就職活動の実態です。
